うみうしの日誌

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時の娘

時の娘 ロマンティック時間SF傑作選 (創元SF文庫)

時の娘 ロマンティック時間SF傑作選 (創元SF文庫)

時間SFは話の構造が複雑になりがちだが、このアンソロジーは十分読みやすかった。解説で「ハードSFよりはファンタジーに近い」とあったが、なるほどその通りだ。
時間SF×ロマンスがテーマの本書だが中でも特にロマンチックというか瑞々しいものは「チャリティのことづて」と「時が新しかったころ」である。
「チャリティのことづて」は熱病にうなされたことをきっかけに互いの意識が通じあうようになった19世紀初頭の少女チャリティと20世紀後半の少年ピーターの話。詳しく書くとネタバレになってしまうので控えるが、借りぐらしのアリエッティに通じるものを感じた。そして、チャリティからのことづてが何とも可愛らしい。
「時が新しかったころ」は白亜後期の地層から見つかった時代錯誤な化石の真相を探りに過去へ行った男と、そこで彼の出会った姉弟の話。ラストが、とても良い。私はあまりにドキドキして思わず本を閉じてしまった。

だが、この中で一番好きな話は「時のいたみ」だ。比較的短い話で、何を書いてもネタバレになるようで上手く紹介出来ない。でも、1つ言えるとしたら、それは主人公フレッチャーは非常に一途で素晴らしい、ロマンチックな人だということだ。